マンションを高く売りたい
マンションを売るとなった場合、できるだけ高く売りたいですよね。
一般の方にはあまりなじみのない不動産取引、分からないことも多いと思います。
- どのくらいの価格で売ればいいの?
- どんな準備をすればいいの?
- 何を注意すればいいの?
ですので、いざ売却となると不動産会社に任せっきりの方も少なくありません。
ただ、できるだけ高くマンションを売却するには、売主が知るべきこと、すべきこと、注意すべきことがあります。
この記事では、売主視点でマンションを高く売るための方法やコツをお伝えします。
マンションを高く売るために知っておくべきこと
マンションを高く売るために知っておいたほうがよいことがいくつかあります。
マンション売却の流れ・手続き
マンション売却には、それぞれ段階ごとに手続きと流れがあります。
それぞれの手続きには意味があります。
マンションの売却の流れを知ることで、高く売るための準備や対策、価格にどう影響するかかが分かります。
詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
査定価格と売り出し価格の違い
マンションの売却に関していくつかの価格があります。
・相場(市場価格)
・査定価格
・売り出し価格
・成約価格
相場はその物件の市場で取引される価格。本来、相場を知るために不動産会社に査定を依頼します。
ただ、査定価格は会社によって違いますし、相場と一致しない場合もあります。
それは査定の仕方・精度の違い、営業方針などいくつかの理由によります。
売り出し価格は実際に売り出す価格です。
物件の状況や販売にかけられる期間、依頼する会社の営業方針によって変わります。
売り出し価格の設定でその後の売却状況、成約価格に影響する価格です。
成約価格は最終的な売買金額。売主にとってもっとも大切なのはこの成約価格です。
競合物件や販売期間、価格交渉への対応によっても変わります。
これらの価格は違います。
相場(市場価格)に対して、売り出し価格をどうするか、成約価格までの見通しをどのように考えるか、不動産会社の提案内容の良し悪しを決めるものです。
ですので、相場と査定価格の根拠、売出価格に対してどう販売活動を行っていくかを不動産会社に確認、納得することが大切です。
媒介契約の種類と違い
マンション売却を依頼する不動産会社と媒介契約を結びます。
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
3つの媒介契約の違いは、依頼できる不動産会社数やレインズ登録や販売状況の報告義務などに違いがあります
レインズ
不動産会社が流通する物件情報を共有するシステム。
売り物件が登録されるとそれをみた客付け会社が買主に物件情報を案内します。
それぞれメリット・デメリットがありますが、選択を間違うとなかなか売れない、売却価格が下がることにもつながりかねません。
- マンションの需要(売れやすさ)
- かけられる販売期間
- 売主の考え方・対応できる会社の数
こういった条件から最適な媒介契約を結ぶことが必要です。
マンション売却にかかる手数料・費用
マンション売却にどういった手数料や費用が必要か把握しておきましょう。
- 仲介手数料
- 印紙代
- 登記費用(登録免許税・司法書士報酬)
- 補修・ハウスクリーニング費
- ホームステージング費
- 売買瑕疵保険をつける
- 住宅ローン完済手数料
- 不動産譲渡税
売却収入の見通し、費用、住宅ローン残債(返済中の場合)を把握することで、手元に残る資金、売却後の資金計画を明確にすることができます。
また、状況によってはリフォームや不具合箇所を補修することで、付加価値を上げ、問合せ数を増やすことも考えられます。
その結果、より高値での売却につながる場合もあります。
どこまでの費用をかけるか、売りやすさや成約価格にどこまで影響するか、不動産会社と相談しながら判断しましょう。
マンションを高く売るためにすべきこと
必要な情報を準備したうえで売主としてすべきことはどういったことでしょうか。
複数の不動産会社を比較して決める
不動産会社は複数の会社を比較して決めましょう。
なぜなら、一般の方が1社だけの査定金額や販売方法などで、それが本当に妥当なものなのかを判断することが難しいからです。
査定金額は不動産会社によって違います。
3,400万円の査定金額でそのまま売り出し
→すぐに売れる
→より高い金額で売却できた可能性が残る。
3,600万円の査定金額で3,800万円で売り出し
→なかなか売れず価格変更を繰り返す
→最終、価格交渉で相場より低い金額で売却。
→状況次第では、買取で相場よりかなり低い金額で売却
相場や売り出し価格の根拠、販売方法に加えて、担当者の対応まで複数の不動産会社を比較して決めることが高値売却につながります。
物件写真や掲載情報にこだわる
不動産ポータルサイトや不動産会社のホームページ、物件資料に掲載する写真や情報にこだわることも大切です。
今はどの不動産会社もネットでの集客が主流です。
購入検討者もネット上の情報をみて検討対象となるかを判断します。
ネット上の画像や情報は、問い合わせ数や反響率に関係してきます。
特に高値売却を目指し相場より高い金額で売り出す場合、内覧数や複数の購入希望者の競合は、価格交渉の対応にも影響します。
入居中の売却活動では、室内の写真などを掲載したくないと思われるかもしれません。
ただ、物件の状態や魅力をしっかりとPRできる写真や情報をできるだけ提供することで高値売却にもつながりやすくなります。
内覧時の掃除や対応をしっかり行う
空き家、入居中に関わらず、内覧に備えて部屋の片付けや清掃はしっかりと行いましょう。
内覧の際の第1印象は売主の方が考えられている以上に大切です。
また、入居中の内覧では購入検討者から質問を受けます。
マンションの共用設備や周辺環境、学校や買い物施設など生活に直結する情報など、しっかりと伝えることで買主も購入判断がしやすくなります。
購入検討者は、部屋の状態だけでなく、売主の人柄やどういった人に使われてきた物件かという点もみています。
築年数が経過したマンションでは経年による劣化や消耗はあることは当然ですが、丁寧に使われているかは内覧すると分かるものです。
担当者と積極的にコミュニケーションをとる
媒介契約の種類にもよりますが、販売期間中、不動産会社の担当者から定期的に状況報告があります。
担当者とは積極的にコミュニケーションをとることが大切です。
不動産会社は大手から地元密着の会社、マンション専門、リフォームやリノベーションを得意とするなどさまざまな会社があります。
また、担当者も経験豊かな人から新人まで、地域にどれくらい精通しているかなど違いがあります。
そして、担当者が抱える物件数や会社の営業方針などで、物件によってかけられる時間に違いが出ることはあります。
不動産会社は契約を成立させて仲介手数料報酬を得ることが目的です。
物件の売れやすさや販売状況、売主の対応によって、優先順位や積極性が変わる場合があります。
ですので、担当者とは積極的に問合せや内覧数、販売状況の評価や今後の見通しなど、できるだけコミュニケーションをとることも必要です。
マンションを高く売るための注意点
ここまでマンションを高く売るための知るべきこと、すべきことを解説してきました。
ここでは注意点について解説します。
購入申込時の値引き交渉を間違わない
購入希望者が現れると、正式な購入の意思表示として希望価格や契約の希望時期などを書面に記載した不動産購入申込書を受け取ります。
このとき買主から値引き交渉を受けることもあります。
価格交渉に応じるか否か、応じるとしてもどこまで応じるか選択肢は売主側にあります。
売り出し価格に値引き交渉を織り込んでいる場合もありますし、早期売却したい場合などは、相場通りもしくは相場より低い価格で売り出している場合もあります。
ただ、中古マンションは同じものはありませんし、相場はあるものの最終的な売却価格は売主と買主の合意で決まるものです。
ですので、安易に価格交渉に応じることは避けましょう。
また、早く取引を成立させたいがため値引き交渉に応じようとする不動産会社にも注意する必要があります。
売れやすい物件、売れにくい物件もありますし、売主の方がおかれた状況もさまざまです。
いずれにしても慎重に判断する必要があります。
マンション売却のタイミングを間違わない
マンションを高く売却するためには、販売期間やそ売り出すタイミングが大切です。
マンション売却にかかる平均的な期間
首都圏不動産流通市場の動向の調査によると、過去10年間のレインズ登録から成約までに要した日数は以下の通りです。
年 | 登録から成約までの日数 |
---|---|
2013年 | 79.1日 |
2014年 | 71.2日 |
2015年 | 65.5日 |
2016年 | 69.3日 |
2017年 | 74.7日 |
2018年 | 78.8日 |
2019年 | 81.7日 |
2020年 | 88.3日 |
2021年 | 74.7日 |
2022年 | 71.4日 |
直近の2022年をみると71. 4日となっています。
ここ10年の平均でいうとレインズ登録からおおむね70〜80日の期間を要しています。
首都圏不動産流通市場の動向(2022年)
(公益財団法人 東日本不動産流通機構)
また、不動産会社は専任媒介もしくは専属専任媒介契約を締結した場合、それぞれ7日もしくは5日以内に物件情報をレインズに登録する義務があります。
記事冒頭の図表で示したように、
「売却を決めて販売開始(レインズ登録)までの準備期間」
「成約から引渡しまでの期間}
それぞれ1カ月くらいと考えると、売却期間として最低5カ月以上はみておいたほうが良いことになります。
平均的な数字ではあり、それぞれの物件の需要(売れやすさ)によって変わりますが、売却期間は余裕をもつことが大切です。
マンションを売却するタイミング
マンションを高く売却するためには、購入の需要が多く、不動産価格が高いタイミングに売却すべきです。
図表2は2010年を100として不動産価格指数の推移を表したものです。
2013年以降、マンション価格指数は上昇傾向にあります。
また、購入しやすさでは変動金利を中心に住宅ローンが低金利の水準にありますので「売り時」といえます。
令和5年3月・第1四半期分 不動産価格指数
(国土交通省)
では、1年のなかで売り時はいつなのでしょうか。
図表3は令和3年の近畿圏ならびに兵庫県の中古マンションの月別取引件数を示したものです。
月別 | 近畿圏 取引件数 | 兵庫県 取引件数 |
---|---|---|
1月 | 1,346件 | 399件 |
2月 | 1,491件 | 419件 |
3月 | 1,952件 | 579件 |
4月 | 1,413件 | 422件 |
5月 | 1,435件 | 438件 |
6月 | 1,551件 | 448件 |
7月 | 1,270件 | 414件 |
8月 | 1,197件 | 370件 |
9月 | 1,252件 | 355件 |
10月 | 1,556件 | 452件 |
11月 | 1,571件 | 477件 |
12月 | 1,261件 | 327件 |
傾向としては、3月が取引件数が多く7~9月、12月は少ない傾向です。
その他の期間については増減はあるものの大きな違いはないといえます。
これをみると、転勤や学校関係などの需要期である3月の引越しシーズンにあわせて売却することがタイミング的には良いと考えられます。
この時期は購入期限が決まっている検討者も一定数いますので、長く物件探しをしてきた購入検討者にも決断がされやすい時期でもあります。
このように売却に必要な期間とタイミングを踏まえ、売却のスケジュールを考えることも高値売却を狙ううえで必要です。
2022不動産業統計集
(公益社団法人 不動産流通推進センター)
リフォームなど無駄な費用をかけない
リフォームを実施し売却価格を上げる、売却しやすくする方法もありますが慎重な判断が必要です。
なぜなら、リフォームを実施したことによる価値の向上を購入検討者に金銭的価値として理解してもらうことは簡単ではないからです。
相場3,000万円のマンションに200万円のリフォーム費用をかけたとしても、必ずしも3,200万円以上の価値を感じてもらえるかというとそうではなく、強気の価格設定と捉えられることもあります。
リフォーム以外にもマンションの価値を上げる施策として、部分的な補修やハウスクリーニングなども考えられます。
物件価格や需要、販売状況(空き家か居住中か等)、費用対効果まで踏まえて慎重な判断が必要です。
ローン残債のあるマンションを売却したい
住宅ローン返済中でも売却はできますし、ローンの有無が売却金額に直接影響するわけではありません。
ただし、住宅ローン返済中の不動産には金融機関の抵当権が設定されていますので、売却には抵当権を抹消する必要があります。
手続き的には、売却を決めた段階で借入先金融機関に連絡し、売却予定である旨、住宅ローンを完済予定である旨を伝えましょう。
あわせて売買契約を締結し引渡し日が決まれば、抵当権抹消の手続きの連絡をします。
ローン残債があるマンションを売却する2つの状況
住宅ローン返済中のマンションを売却する状況として大きく2つあります。
①売却収入で住宅ローンが完済できる
(アンダーローン)
②売却収入で住宅ローン完済が難しい
(オーバーローン)
①アンダーローンの場合、抵当権抹消の手続きと費用をおさえておけば大丈夫です。
一方②オーバーローンの状況で売却するとなった場合いくつか問題があります。
マンションを売却してもローンを完済できない
売却収入でローンを完済できない場合の方法として3つ考えられます。
自己資金で完済
1つ目は、ローン完済に不足する資金を自己資金で準備、あるいは一時的に借入等で資金調達する方法です。
売却にかかる諸費用を踏まえて準備する必要があります。
住み替えローンを活用
2つ目は、マンションの売却が住み替えに伴う場合であれば、住み替えローンを活用する方法です。
住み替えローン
マンション売却後の住宅ローン残債と住み替え先の新居の住宅ローンをまとめて借入できるローン
ただし、住み替えローンは2重ローンになるため審査が厳しく、借入時の金利は通常の住宅ローン金利より高く設定されています。
任意売却
3つ目の方法は、金融機関の同意のもと任意売却することです。
任意売却
住宅ローンの返済が難しい場合、売却収入で住宅ローンの完済ができなくても金融機関の同意のもと売却する方法
マンションに設定された抵当権を抹消するには、ローンを全額完済することが原則です。
この点、任意売却はそれができない場合でも金融機関の同意のもと売却する方法です。
ただし、任意売却しても残りの住宅ローン債務がなくなるわけではなく、金融機関と返済条件などを相談して決めます。
住宅ローン完済含めた資金計画は売却の可否を決める重要なことです。
事前に不動産会社や金融機関に相談することが大切です。
まとめ
マンションを高く売却するための知るべき情報、すべきこと、注意点について解説しました。
- マンション売却の流れ
- 相場・査定価格と成約価格の違い
- 媒介契約の種類と違い
- マンション売却にかかる手数料・費用
- 複数の不動産会社を比較して決める
- 物件写真や掲載情報にこだわる
- 内覧時の掃除や対応をしっかりとする
- 不動産会社と積極的にコミュニケーションをとる
- 購入申込時の価格交渉で失敗しない
- 売却にかける期間、タイミングを間違わない
- リフォームなど無駄な費用をかけない
- 自己資金・資金を調達
- 住み替えローンを活用
- 任意売却
マンションを売却といっても、物件や売主の方の状況はさまざまです。
マンション売却は不動産会社との共同作業ですので、信頼できる不動産会社・担当者を見つけることが大切ですが、売主としてすべきこともあります。
是非参考にしてください。